
「善玉菌を増やしましょう」。
健康番組や雑誌のなかでも、よく耳にする言葉ではないでしょうか。
けれど具体的に「どうしたら増えるのか」と聞かれると、案外うまく答えられないもの。
結論からお伝えすると、善玉菌を増やすには、菌をとる発酵食品と、菌のえさになる食物繊維・オリゴ糖を、毎日少しずつ組み合わせるのが基本です。
そして、善玉菌は「増やす」より「育てる」と考えるほうが、毎日の食事や暮らしに自然に寄りそっていけます。
- コツ1:発酵食品で菌をとる
- コツ2:食物繊維・オリゴ糖で菌のえさをとる
- コツ3:毎日少しずつ、食後にとる
- コツ4:悪玉菌を増やしやすい食事とは「ほどほど」に付き合う
- コツ5:睡眠・体温・ストレスケアで暮らしを整える
読み終わるころには、今日の食卓と毎日の過ごし方に「ちょっと整えてみようかな」と感じるヒントが、見つかっているはずです。
善玉菌を増やすには?まず知りたい基本と「育てる」視点

はじめに、善玉菌という言葉と、お腹の菌のバランスについて整理しておきましょう。
全体像が見えるだけで、食材や習慣の選び方が変わってきます。
- 善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランス
- ビフィズス菌・乳酸菌など代表的な善玉菌
- 善玉菌は住みつかない、だから「育てる」
善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランス
お腹の中には、無数の菌が住んでいます。
大きく分けると、体にとって心地よくはたらく善玉菌、悪い影響が出やすい悪玉菌、そしてどちらにも傾く日和見菌の3種類。
多くを占めるのは日和見菌で、優勢な側の味方をするとされています。
悪玉菌をゼロにする必要はなく、「善玉菌が少し多めの状態」を保てれば十分とも言われています。
善玉菌を育てておくと、日和見菌も自然と良い側に味方してくれるイメージで考えるとわかりやすいでしょう。
ビフィズス菌・乳酸菌など代表的な善玉菌
善玉菌の代表としてよく名前が挙がるのが、ビフィズス菌と乳酸菌です。
| 善玉菌 | よく知られている特徴 | とりやすい食べ物の例 |
|---|---|---|
| ビフィズス菌 | 主に大腸にすんでいる | ビフィズス菌入りのヨーグルト |
| 乳酸菌 | 糖から乳酸をつくる | ヨーグルト・ぬか漬け・キムチ・味噌 |
| 納豆菌 | 熱や酸に強いと言われる | 納豆 |
どの菌が自分のお腹に合うかは、人によってちがいます。
ひとつに決めつけず、いろいろな発酵食品から少しずつとるのがおすすめです。
善玉菌は住みつかない、だから「育てる」
食べものからとった菌の多くは、お腹にずっと住みつくわけではなく、時間がたつと体の外へ出ていくと言われています。
だからこそ、一度にたくさんより、毎日少しずつとり続けることが大切になります。
善玉菌の話題を聞くと、つい「もっと、もっと増やさなきゃ」と力が入ってしまうもの。
「増やす」と気合いを入れるより、「育てる」気持ちで、長い目で寄りそうほうが現実的です。
私は、大腸の菌だけでなく、食べたものを受け取る小腸もふくめたお腹全体を大切にしてほしいと考え、著書『神秘の小腸力』でもその視点をお伝えしてきました。
善玉菌を増やす食事の2つの軸と組み合わせ方
善玉菌の育て方を、シンプルに2つの軸で整理しておきます。
このフレームを覚えておくと、食材選びがぐっとラクになります。
- 菌そのものを取り入れる(プロバイオティクス)
- 菌のごはんを用意する(プレバイオティクス)
- 組み合わせ例が一目で分かる表
- 1週間で味噌汁の具を回す例
菌そのものを取り入れる(プロバイオティクス)
ひとつめの軸は、発酵食品から菌そのものを取り入れること。
味噌・しょうゆ・納豆・ぬか漬け・ヨーグルト・キムチ・甘酒など、日本の食卓にもなじみの食材ばかりです。
同じヨーグルトを毎日続けるより、味噌・納豆・ヨーグルトのように違う菌の食材を組み合わせるのが現実的。
家にあるものを「いつものひと品」にするだけで、特別な買い物は必要ありません。
体に合うかどうかは、続けるなかでお腹の感覚が静かに教えてくれます。
菌のごはんを用意する(プレバイオティクス)
もうひとつの軸は、善玉菌のえさになる食材をいっしょに取り入れること。
食物繊維(海藻・野菜・きのこ・果物・豆など)やオリゴ糖(玉ねぎ・ごぼう・バナナなど)が、その代表格です。
とくに、海藻・オクラ・りんご・大麦などに多い水溶性の食物繊維は、菌のえさになりやすいと言われています。
食物繊維には1日の目標量も示されているので、目安として知っておきましょう。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、目標量として男性18~29歳、75歳以上は一日に20g以上、30~64歳は22g以上、65歳~74歳は21g以上、女性18~74歳は一日に18g以上、75歳以上は17g以上と設定されています。
オリゴ糖の使い方は、オリゴ糖の働きと取り入れ方の基本で詳しく紹介しています。
組み合わせ例が一目で分かる表
2つの軸を組み合わせた例を、表に整理しておきます。
| 軸 | 役割 | 代表的な食材 | 組み合わせ例 |
|---|---|---|---|
| 菌そのもの | 取り入れる | 味噌・納豆・ヨーグルト・甘酒 | ― |
| 菌のえさ | 育てる | 海藻・きのこ・玉ねぎ・バナナ | ― |
| 2つをセットに | 入れて育てる | ― | ヨーグルト+バナナ、納豆+オクラ、味噌汁+わかめ |
| 水分・体温 | 環境を整える | 白湯・あたたかい飲み物 | 朝の白湯+味噌汁 |
「菌を入れて、菌を育てて、環境を整える」。
この3点が、シンプルだけど大切な型です。
食材をもっと知りたい方は、下の関連記事の13選も参考にしてください。
1週間で味噌汁の具を回す例
毎日同じ具だと飽きてしまうので、曜日ごとに菌のえさになる具を変えてみましょう。
| 曜日 | 味噌汁の具 |
|---|---|
| 月 | わかめと豆腐 |
| 火 | しめじと玉ねぎ |
| 水 | ごぼうとにんじん |
| 木 | もずくとねぎ |
| 金 | えのきと油揚げ |
| 土・日 | 具だくさんの豚汁や鍋 |
味噌で菌を、具で菌のえさを同時にとれるのが、味噌汁のうれしいところです。
余った野菜やきのこを入れれば、冷蔵庫の整理にもなって一石二鳥。
家族の好きな具を入れれば、自然と続けやすくなります。
善玉菌を効率よく増やす食べ方とタイミングのコツ

2つの軸が見えたら、つぎは「どう食べるか」へ。
同じ食材でも、食べ方やタイミングを少し意識するだけで、続けやすさが変わってきます。
- 毎日少しずつ続ける理由と「ひと品プラス」
- 空腹時より食後に、加熱しすぎない
- 悪玉菌を増やしやすい食事との付き合い方
- 外食やコンビニで善玉菌を育てる選び方
毎日少しずつ続ける理由と「ひと品プラス」
とった菌はずっと住みつくわけではないので、毎日少しずつとり続けるのが近道。
むずかしいレシピよりも、毎日の「ひと品プラス」のほうが、ずっと続けやすいものです。
| 時間 | ひと品プラスの例 |
|---|---|
| 朝 | わかめの味噌汁、ヨーグルト+バナナ |
| 昼 | 納豆巻き、海藻サラダ |
| 夜 | 玉ねぎたっぷりのスープ、ぬか漬けを少し |
| おやつ | 温かい甘酒 |
食べ物の選び方は、腸活におすすめの食べ物10選もあわせて読んでみてください。
空腹時より食後に、加熱しすぎない
ヨーグルトなどの発酵食品は、胃酸の影響を受けにくいよう、空腹時より食後にとるとよいと言われています。
また、キムチやぬか漬け、甘酒などは、加熱すると生きた菌は減るとされます。
| 食べ物 | とり方のコツ |
|---|---|
| ヨーグルト | 食後のデザートに |
| 味噌 | 火を止めてから溶き入れる |
| キムチ・ぬか漬け | 加熱せず、そのまま少量を |
| 納豆 | そのままでも、汁物や卵焼きに入れても |
ただし、加熱しても発酵でつくられたうま味や成分は残るので、気にしすぎず、食べやすい形で続けることを優先しましょう。
温かい味噌汁やスープは体も温めてくれるので、冷えが気になる季節にはとくにおすすめ。
悪玉菌を増やしやすい食事との付き合い方
肉や脂の多い食事、加工食品やお菓子に偏った食事が続くと、お腹のバランスがくずれやすいと言われています。
| こんな日のあとは | 整え方の例 |
|---|---|
| 焼き肉や揚げ物が続いた | 翌日は野菜・海藻・きのこを多めに |
| お菓子や甘い飲み物が多かった | 次の食事に発酵食品と果物を |
| 外食が続いた | 汁物と小鉢がつく定食を選ぶ |
「やめる」より「ほどほどに」を合言葉に、付き合い方を見直してみてください。
外食やコンビニで善玉菌を育てる選び方
外食やコンビニの日も、選び方しだいで菌と菌のえさをそろえられます。
- 定食屋では、味噌汁と小鉢の野菜がつくメニューを
- そば・うどんには、わかめやきのこをトッピング
- コンビニでは、納豆巻き+カップの味噌汁+海藻サラダ
- おやつは、ヨーグルトやバナナに置きかえる
「外食だから何もできない」ではなく、「外食でもこれは選べる」と考えるのが、続けるコツです。
飲み物も、甘い清涼飲料水よりお茶や水を選ぶと、1日の糖分を抑えやすくなります。
善玉菌が育ちやすい暮らし方と睡眠・ストレスケア

食事と同じくらい大切なのが、毎日の暮らし方。
菌は生きものなので、生活全体の環境にとても素直に反応します。
- 睡眠・体温・適度な運動
- 忙しい時期のお腹とストレス
- 避けたい習慣も知っておく
- 寝る前のお腹の手当て
- 善玉菌を育てる1日の過ごし方の例
睡眠・体温・適度な運動
夜ふかしや不規則な生活が続くと、お腹の環境もゆらぎがち。
軽い散歩やストレッチ、しっかりした睡眠、お風呂でお腹を温めるといった地味な習慣こそ、菌が育ちやすい土壌を作ってくれます。
朝のひと駅分の散歩は、お腹のリズムを目覚めさせるささやかなスイッチ。
お風呂は、寝る前1時間ほどにゆっくり浸かると、体も心もふんわりほどけていくでしょう。
忙しい時期のお腹とストレス
強いストレスや疲れが続くと、お腹の環境にも影響が出やすいと言われています。
ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、腸の動きが低下します。
忙しい時期こそ、食事や休み方を少しだけ見直して、お腹に手を当てる時間をつくってみてください。
がんばりすぎず、心の余白を持つこと自体が、立派な「腸活」になるのでした。
小さな休憩を1日に何度かはさむだけでも、気持ちはずいぶん変わってきます。
- 仕事や家事の合間に深呼吸を3回する
- お風呂にゆっくりつかる
- お気に入りの音楽を聴く
どれも、れっきとした菌へのサポートになります。
避けたい習慣も知っておく
過度な飲酒、暴飲暴食、極端なダイエットは、お腹にも菌にも負担になりやすいもの。
急に厳しく制限すると反動が大きいので、週に1日「お腹をいたわる日」を作るような気軽さがちょうどよいでしょう。
寝る前のお腹の手当て
食事に加えて、寝る前に温めた手のひらをお腹に当て、時計回りにやさしくなでる時間をつくってみてください。
長く息を吐きながら触れると、一日のこわばりがほどけていくのを感じやすくなります。
お腹にやさしく触れるケアの考え方は、腸もみの基本で紹介しています。
善玉菌を育てる1日の過ごし方の例
食べ方と暮らし方を1日にあてはめると、たとえば次のようになります。
| 時間 | 過ごし方 |
|---|---|
| 朝 | 白湯を1杯、わかめの味噌汁と納豆ごはん |
| 昼 | 汁物つきの定食、食後に少し歩く |
| 夕方 | ヨーグルト+バナナでひと息 |
| 夜 | 野菜たっぷりの夕食、湯船につかる |
| 寝る前 | お腹に手を当てて深呼吸 |
全部そろえなくても、1つでも取り入れられた日は、善玉菌を育てられた日と考えてください。
できなかった日があっても、翌日にまたひとつ足せれば十分です。
善玉菌の増やし方についてよくある質問
最後に、善玉菌についてよく寄せられる質問にお答えしていきます。
善玉菌を増やすために、サプリは飲んだほうがよいのでしょうか?
食事を整えるのが土台。
そのうえで足りない部分をサプリで補う、という順番で考えると、無理がありません。
使うときは同じものをしばらく続けて、お腹の様子で相性を見るのがおすすめ。
持病がある方や薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師に相談してから選びましょう。
ヨーグルトはどんな基準で選べばよいのでしょうか?
パッケージに書かれている「菌の種類」や、トクホ・機能性表示食品などの表示を目安にしてみてください。
1〜2週間続けてみて体の感覚を確かめ、合いそうなら継続、いまひとつなら別のものを試す、というスタイルがおすすめです。
毎日食べるなら、無糖のものを選び、甘みは果物で足すと続けやすくなります。
お酒や甘いものは、やめたほうがよいのでしょうか?
完全にやめるより、「ほどほど」を意識するほうが現実的。
とくに「飲み会の翌日にお腹が張る」「甘いものを食べすぎた翌日に重い」と感じる方は、体からのサイン。
翌日に味噌汁と発酵食品を意識してとる、くらいのリカバリー習慣があれば、楽しみと整えのバランスが取れます。
どれくらい続けると、体感が出てくるものですか?
感じ方には個人差があり、短期で結果を求めず、季節をまたぐくらいの長い目で見るのがおすすめ。
「お通じのリズム」「朝の軽さ」「お腹のあたたかさ」など、体感の小さな変化に目を向けることから始めましょう。
気になる症状が続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。
子どもや高齢の家族も、同じ食べ方でよいのでしょうか?
味噌汁・納豆・ヨーグルトは、家族みんなで取り入れやすい食材。
小さなお子さんの場合は味の濃さや量を控えめに、ご高齢のご家族は消化のしやすさを意識して、少しずつ取り入れていきましょう。
たとえば、月曜はわかめ、火曜はきのこ、水曜は玉ねぎと、1週間で味噌汁の具を回すと、家族みんなで自然にいろいろな菌のえさをとれます。
善玉菌を増やすコツは毎日の食べ方と暮らしの積み重ね

ここまで、善玉菌を増やす(育てる)コツをたどってきました。
大事なところを、最後にやさしく振り返ります。
- 善玉菌は「増やす」より「育てる」視点で
- 軸は菌そのもの(発酵食品)+菌のごはん(食物繊維・オリゴ糖)
- とった菌は住みつかないので、毎日少しずつ・食後に
- 肉や脂、お菓子に偏った日は、翌日に野菜や発酵食品で整える
- 暮らし全体(睡眠・運動・休息・お腹の手当て)も立派な腸活
つまり、善玉菌は派手な工夫より、毎日のささやかな選択で育てていくもの。
今日の食卓と暮らしのリズムが、明日のあなたを静かに育ててくれるのでした。
もっと深く学んで、自分や家族のケアに活かしたい方は、腸セラピスト資格の取り方まとめもあわせてご覧ください。
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その気持ち、本物にしませんか。
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この記事を書いた人
武田 貴美江
セラピスト歴は27年以上。腸セラピーサロン「緩(ゆるり)」を開業し、これまで8,000人以上の健康をサポート。腸セラピスト養成講座では150人以上の腸セラピストも育成。著書に『神秘の小腸力』があります。SNSでは腸に関する情報も発信中✉️✨











